感想『新版 アフォーダンス 佐々木正人/著』

アフォーダンスの理論は、私たちの行動に対する新しい見方を与えてくれます。

以下、 本書『新版アフォーダンス』を読んで得た学びや気づきの一部を自分なりの解釈も交えて説明しています。

アフォーダンス(affordance)は、英語の動詞アフォード(afford)を名詞化したギブソンの造語である。

出典:新版アフォーダンス

アフォーダンスは「環境が動物に与え、提供している意味や価値」である。よいものでも(食物や住まいのように)、わるいものでも(毒や落とし穴のように)、環境が動物のために備えているのがアフォーダンスである。

出典:新版アフォーダンス

アフォーダンスはそれと関わる動物の行為の性質に依存して、あらわれたり消えたりしているわけではない。さまざまなアフォーダンスは、発見されることを環境の中で「待って」いる。

出典:新版アフォーダンス

アフォーダンスは、環境に実在する「情報」で、それを認識するかどうかは私たち次第です。

同じものを見ても、人によって異なるアフォーダンスが知覚される。だから環境の中のすべてのものに、アフォーダンスは「無限」に存在していることになる。

出典:新版アフォーダンス

アフォーダンスは情報として環境に存在し、それが発見されれば提供してくれます。

そして、アフォーダンスは、主体的でなく客観的です。

アフォーダンスは、知覚者の欲求や動機、あるいは主観が構成するようなものではない。それは、環境の中に実在する行為の資源である。

出典:新版アフォーダンス

ピアノを例に考えてみました。

ピアノは、鍵盤を押すと音が出るというアフォーダンスがあるが、誰も鍵盤を押さなければ当然音は鳴りません。

誰かがピアノを弾いて音を鳴らしたら、その人が音を出したのではなく、その人が鍵盤を押すという行為とピアノにある音が鳴るというアフォーダンスが音になったのです。

アフォーダンスは環境と人間との関係の見方ともいえます。

環境に存在するアフォーダンスと自分の身体能力との関係から行動が起こりうる現象としてあらわれます。

私たちは五感を使って物体との距離や形状などの環境を認識し、自分の体の可動域や限界を勘案した上で環境のアフォーダンスに無意識に合わせる能力が備わっています。

そして、どんなアフォーダンスを発見し認識し利用するかはそれまで自分が経験して得てきた記憶や固定観念にも大きく影響受けます。

同じ環境でも人によって違うアフォーダンスが知覚されるということは、個々の身体能力や経験以外に、思い込みによる影響も受けるのではないかと思います。

自分の身体能力が成長して可能性が広がっているのに、その変化に気づいていない場合はどうでしょうか?

「鎖につながれた象」の話を思い出しました。

象は小さい時から足を鎖でつながれて過ごすと、どんなに逃げようとしても鎖を引きちぎれなかった記憶によって、大人の象になっても鎖を引きちぎろうとしません。

その鎖は自分の力では引きちぎれないくらい頑丈だというアフォーダンスがあると思い込んでいるのです。

環境は同じでも、自分の身体能力の変化によって可能性が広がり、その環境のアフォーダンスから異なる知覚が可能になります。

本当は、象の体は大きくなっていて、その鎖は、いつでも簡単に引きちぎれるようになっているのです。

では、自分の身体能力は同じでも、環境が変わって自分の知覚できるアフォーダンスが変化しているにもかかわらず、その変化に気づいていない場合はどうでしょうか?

「蓋をしたコップに入ったノミ」の話を思い出しました。

ノミはとても高くジャンプできる力をもっています。

ところが、蓋のついたコップに入れられたノミは、ジャンプしても蓋にあたってしまいます。

それ以上ジャンプできないと分かると、最初からもう蓋の高さまでしか飛ばなくなります。

そこで、蓋を外します。

初めは、蓋があったことで、ジャンプしても跳ね返されるというアフォーダンスがあったが、もう蓋はありません。

しかし、ジャンプすれば簡単にコップから出られるとしても、飛ぼうとしないのです。

逃げられないという環境のアフォーダンスがあると信じ込んでしまうと環境が変わっていてもそれに気づかずに自分の行動の方を制御してしまいます。

自分の身体能力の可能性や変化だけでなく環境の可能性や変化にも注意を向けて、その環境の様々なアフォーダンスを見出していく必要があります。

それまでの自分の中に作り上げられた常識や固定観念という思い込みのフィルターを常に外して、ゼロからその環境のアフォーダンスをとらえようとする姿勢を忘れないようにしたいものです。

環境の中の情報は無限である。それを探索する知覚システムの組織も生涯変化しつづける。 知覚システム は、どのような環境と接触してきたかによって異なる個性的なものであり、情報の豊富さに対応するように分化し続けることで固有性をもつ。

出典:新版アフォーダンス

知識を「蓄える」のではなく、環境に触れて、「身体」のふるまいをより洗練されたものにし、さらに多くの奥深い環境の意味に触れることができるようにしてゆくこと。それが、発達することの意味である。

出典:新版アフォーダンス

いつもそこには環境が秘めている無限の情報を読み解く楽しさがあります。

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