お餅には、人それぞれ、好みの食べ方があります。
- きなこ餅
- 磯辺焼き
- おしるこ
- 砂糖醤油
- ぜんざい
- あんころ餅
- みたらし風
- ずんだ餅
- 鍋に入れる
- お好み焼きのトッピング
など。
ひと通り試し終わると、ふと考えます。
「なんか他にはないかな?」
そこで、出会ったのが
“ クリームチーズ & 塩 ” です。
私にとって、この「塩チーズもち」は、これ以上ない究極の組み合わせでした。
茹でたての切り餅に、冷たいクリームチーズをのせて、少し塩を振るだけなのですが、この上ない美味しさなんです。
餅には、柔らかいのにコシがあるという、素材の特徴があります。
それによって、“ しばらく噛み続けることができる ” ので、味の変化を楽しむ “ 時間の猶予 ” を与えてくれます。
とくに、この塩チーズもちは、
- 口に入れたあとにビヨーンと伸びる餅を見る楽しさ
- 一瞬で広がる「塩味」とクリームチーズの「コク」のマリアージュ
- 柔らかいのに弾力性があるという相反する食感
- クリームチーズのコクと塩味が消えたあとに残る「もち米の素朴な甘み」
と、何層も楽しめます。
ポイントは、最後に残る「もち米の味」だと思っています。
噛み続けているうちに、味付けとして纏っていた「クリームチーズ」や「塩味」が消え去ってしまった後も、もち米の味だけは、最後まで「ある」のです。
素朴で薄い味なのに、しっかりと感じるもち米の存在感。
そのときに、味わえる “ もち米感 ” は、私にとっては「これを待っていた!」と思える瞬間でもあります。
それは、玄米を噛み続けて出会える「ほのかな甘さ」に似ています。
私は、「塩味」のあとにやってくる「素朴な甘さ」というギャップが好きなので、クリームチーズや塩味を楽しむ時間は、もち米の「ほのかな味わい」を最後に堪能するための余興にすら感じ始めています。
一見、「チーズのコク」がクライマックスのように思いますが、私が待っていたのは「その先」だったのです。
私が、この塩チーズもちをやめられない理由は、そこにあると思います。
また、餅の伸び具合によっても、おいしさが変わります。
鍋の中で餅を茹でて、箸でつまんだときに、“ ひょうたんくらいの「くびれ」になる柔らかさ ” も、もちろん美味です。
噛んだときに、ほどよく “ ビヨーン ” と伸びて、滑らかな舌触りと、もっちりとした歯ごたえもしっかり残ります。
しかし、私が一番好きなのは、うっかり少し茹ですぎた頃の、箸で挟んだときに、“ ダリの時計のようになる餅 ” です。
この状態の餅は、噛んだときに、なかなか切れないくらいに “ ビヨーーーーン ” と伸びるほどの柔らかさです。
こんなに柔らかいのに、噛むと歯ごたえがちゃんとあるという、コシの強い餅ならではの食感は、他の食材にはないんじゃなかと思っています。
もしかしたら、私が知らないだけで、他にもあるんでしょうか?
餅は、「伸びる柔らかさ」と「歯ごたえ」を兼ね備えた、おもしろい食材のひとつだなとつくづく思います。