やらないといけないことがいくつかあって、今日はこれをしようと決めていても、期限がないものだったり締め切りが先のものだったりすると、
「面倒でやりたくない気持ち vs. やらないといけない気持ち」
の葛藤が始まります。
こういう場合は、たいてい本能が勝つので、頭ではすぐにした方がいいと分かっていても、「今日じゃなくてもいい」「明日にしよう」と、つい先延ばしにしてしまいがちです。
そして、切羽詰まってから慌てて取り掛かったりします。
ところが、不思議なことに、いざ取り掛かってみると思いの外はかどって、なんでもっと早く始めなかったのかと感じることがあります。
脳の「作業興奮」によって、動き始めるとやる気が出る
しぶしぶ始めた部屋の片づけのはずなのに、気がつくと、もっと細かいところまで片づけたくなったり、いざテスト勉強を始めてみるとそのまま何時間も集中していたということがよくあります。
これは、脳の「作業興奮」というメカニズムによるものです。
まず、体を動かすことで脳の側坐核という部分が刺激されます。
側坐核が刺激されることで、やる気ホルモンと呼ばれているドーパミンが分泌されて意欲が湧くのです。
この脳の性質によって『行動をするためには、行動が必要』という一見矛盾しているように思えることが起こるのです。
いかに「取り掛かり」を突破するか
行動するためには「行動が必要」ということは、とにかく体を動かして実際に何かを始める必要があります。
しかし、この「取り掛かり」がなかなか実行できません。
なぜなら、人間は感情の動物なので、気が乗らないときは、この「取り掛かり」すら面倒に感じるからです。
そこで、いかにこの「取り掛かり」のハードルを下げるかが重要です。
面倒だと感じるのは、心理的負担が大きいからです。
心理的負担を下げるために、「5分だけやってみる」が有効です。
5分だけ動いてみて気が乗らなければやめればいいと思うことで、取り掛かりやすくなります。
語学や資格の勉強であれば、1ページだけと決めて、実際にテキストを読み始めることで抵抗感が減ります。
ランニングなら、とりあえず着替えるという行動をする。
片づけなら、とりあえず一か所だけきれいにしてみる。
とにかく簡単な作業でいいので、あれこれ悩む前に「とりあえず実際に手を動かす」ことがポイントです。
もし、この5分だけとか、1ページだけだとしても心理的負担を感じるときはどうするのか。
その場合は、「本当にそんなにもやりたくないのか?」と自分に問いかけてみます。
そして、本当にやりたくないかどうかを確かめるために実際に手を動かしながら考えてみるのです。
「やらないといけないから5分だけ動く」では取り掛かる気が起こらないなら、「本当にやりたくないかどうか、自分の気持ちを確かめるために取り掛かる」に目的をすり替えてみることで、手を動かしながら考えてるうちに意外とすんなり作業が進んで、やりたくないと思っていたのは幻想だったことに気づけます。
自転車は、漕ぎ出すときには踏み込む力が必要ですが、一度動き始めたら楽に漕ぎ続けられます。
私たちの体も同じように、やらなければいけないことは取り掛かりこそ大変ですが、一度動き始めたら楽に行動し続けられるのです。