「劇場版フランダースの犬」を久しぶりに見ました。
そして、ふと思いました。
「もし、ネロが絵の学校に通って、本格的に絵を学べていたとしたら、どんな絵を描いたのだろう?」
ネロが憧れていたルーベンスの絵のような、迫力ある宗教画を描く画家になっていたのだろうか・・・
作中でネロが描いていたのは、アロアやおじいさん、パトラッシュ、馬など、身近な人や動物でした。
そして、貧しくて絵の具を買えないので、黒色の一色で、素朴に描きます。
描いた人物や動物の優しさや純粋さがにじみ出るような、素敵な絵です。
わたしは、もしネロが絵の具を使って、色とりどりの絵を描けたとしたら、きっとフランダース地方の美しさを描いていったのではないかと思います。
映画の中で、この風景シーンがよく出てきます。
劇場版「フランダースの犬」より画像引用 ©The Dog o f Flanders Prod.
それも、空の色を変えて。
今回、「フランダースの犬」を見て、ストーリーに感動したのはもちろんのこと、背景の空の色が繊細に描き分けられているところにも魅了されました。
なぜなら、私がいつも散歩中に見ている、大好きな「空色の変化」そのものだったからです。
下の方からボォーっと茜色が漏れ出くる、夜明け前の空の色は、夜の帳が上がっていくようです。
劇場版「フランダースの犬」より画像引用 ©The Dog o f Flanders Prod.
一つの空が、群青色、エメラルドグリーン色、パステルイエロー、ブラッドオレンジ色と、何層にも分かれるシーンもあります。
劇場版「フランダースの犬」より画像引用 ©The Dog o f Flanders Prod.
このシーンを見たときは、早朝を散歩するときの、幻想的な空色を思い出しました^^
朝の静けさの中で、このグラデーションの美しさに出会った時は、「またこの空色を見れて良かった」と、何度見ても感動します。
こんな、春の宵を思わせるような、優しいラベンダー色の空も大好きです。
劇場版「フランダースの犬」より画像引用 ©The Dog o f Flanders Prod.
また、天気のいい日は、淡く優しい水色の空と、ふわふわの白い雲が美しいです。
立ち並ぶ木々と、正面に見える町の風景も素敵です。
劇場版「フランダースの犬」より画像引用 ©The Dog o f Flanders Prod.
川面に、木々の緑色がはっきりと映っている様子から、澄んだ空気と、風のない穏やかな陽気を感じさせます。
そして、そんな川面を優雅に浮かぶ二羽のかわいい白鳥が描かれいる、この風景描写が一番好きです。
ネロならきっと、こんなフランダース地方の美しい自然や街並み、大好きな人や動物の純粋さを、色鮮やかに、優しく描き続けていたんだろうなと、感じます^^
初めて『フランダースの犬』を見た当時は、感動的なストーリーに夢中になっていたので、フランダース地方の美しさや、空色の変化の様子は、まったく気に留まりませんでした。
「もしネロが絵の学校に通って、本格的に絵を学べていたとしたらどんな絵を描いたのだろう?」なんて発想も、ありませんでした。
映画や本は、同じ作品であっても、見る年齢によって見方が変わり、新たな発見が出てくるから不思議です。
また、何年後かに見るときには何が見えてくるんだろう?と思うと、楽しみです♪