スポンサーリンク

やさしい気持ちになる絵本『バクくんのゆめのたね いりやまさとし/絵本 松本俊明/音楽』

絵本は子供だけでなく、大人が読んでも楽しめるものがたくさんあります。

教訓が込められている絵本、韻を踏んだ言葉遊びが楽しい絵本、イラストが綺麗な絵本、童心に返れる絵本・・・

そんな絵本の中から、心の温度がちょっと上がるような絵本として『バクくんのゆめのたね』をご紹介します。

絵本のストーリーにぴったりのメロディー( ピアニストの松本俊明さんが担当 )が収録されているCD付きで、サイズも横14.5㎝×縦14㎝でコンパクトなので読むときも手が疲れません。

絵本作家の いりやまさとし さんの作品で、パステル色鉛筆の優しいタッチが全体的にやわらかくてほんわかした印象を与える、とてもかわいらしい絵本です。

星空の中、眠りの木の下で主人公のバクくんが幸せそうに眠っている姿が描かれている表紙をめくると、お話は始まります。

バクくんのお仕事は、みんなの夢を「いい夢」にすること。

私たちがいい夢を見ることができるのは、バクくんがみんなの夢を守ってくれているから。

どうやってみんなの夢をいい夢にするかというと、眠りの国にある「眠りの木」の「夢の種」をまくんです。

ですので、バクくんの側にある小さな袋は、夢の種が詰まっている大切な袋です。

今日も、さっそくバクくんはその小さな袋をしっかり握りしめて、みんなの夢をいい夢にするために出かけていきます。

最初に訪れたのはカンガルーの赤ちゃんのところ。

さっそくバクくんはカンガルーの赤ちゃんのために夢の種をまきます。

カンガルーの赤ちゃんは、ママのポッケの中が大好き。

小さな前足をお母さんのポッケからちょこんと出して幸せそうに眠っています。

そして、ライオンの赤ちゃんインコの赤ちゃんゾウの赤ちゃんと、どんどんみんなの夢をいい夢にしていきます。

みんなの夢がいい夢になったことにホッとしていたバクくんでしたが、森の木陰にまだ起きている子がいました。

クマの子供でした。

家族が側にいないので、ひとりで眠るのが怖かったのです。

でも大丈夫。

バクくんは持っていた夢の種を白いスズランの花の近くに植えながら言いました。

こうやって たねを うえれば・・・おつきさまが ずっと きみを みまもってくれるよ。

出典:バクくんのゆめのたね

ひとりぼっちのクマの子供も安心して眠りにつきました。

これでみんないい夢になりました。

これまでずっと、みんなの夢をいい夢にするために頑張ってきたバクくん。

そして、バクくんも家族が側にいなくてひとりぼっちです。

バクくん自身の夢は、誰がいい夢にしてくれるのでしょう?

それも、大丈夫。

バクくんが住んでいるパッチワークの丘は、みんなの夢のかけらでできているので、いつでもみんなの幸せな夢と一緒にいられるのです。

バクくんは、自分の夢もいい夢になることをお願いします。

ぼくの ゆめ いい ゆめに なあ~れ。

出典:バクくんのゆめのたね

私はこの瞬間がジーンときます。

みんなの幸せを願ってずっと一生懸命だったバクくんが、最後はちゃんと自分の幸せにも向き合って大切に願っている姿がとても健気で愛おしい気持ちになり、読み終わったあとは心が温まっています。

この絵本の特徴は、なんといってもイラストです。

私のお気に入りは、赤ちゃんゾウの夢のページです。

お母さんゾウと赤ちゃんゾウが、仲良くお鼻をつないでお散歩しているシーンです。

赤ちゃんゾウはすごく嬉しそうにお母さんのお鼻につかまってついていきます。

どのページのイラストもほんわか優しくて何度見ても心が和みます。

眠る前にこの絵本を開くと、絵本の続きが自分の夢の中で始まります。