感想『江戸絵皿絵解き事典 絵手本でわかる皿絵の世界 河村通夫/著』

江戸時代というと、文化や生活様式がまるで違う歴史の教科書の中の世界という感覚をもっていました。

ですので、このお皿がその江戸時代から何百年もの時を経た現代まで今なお存在し続けていることに驚きました。

しかも、このお皿を実際に江戸時代の人が使っていたかと思うと、当時の人々がこのお皿で食事をしている光景が目に浮かんできます。

このお皿を使っていた江戸時代の人は、いったいどんなものを食べて、どんな世界を見ていたのだろうとしみじみと絵を眺めながら考えてしまいます。

そこに描かれているのは、当時の文化や教訓、故事来歴等であり、江戸庶民の心です。

絵皿を通して、当時の人々の価値観や思いが数百年の時を超えて蘇ってまいります。

この本は、

よき事は広め、悪しき事は我にとどめよ

出典:江戸絵皿絵解き事典 絵手本でわかる皿絵の世界

をモットーとする河村通夫さんが、江戸時代から伝わる「絵解き文化」を後世に残すべく筆を執られたものです。

「絵解き」とは、「絵の意味を説明する事」や、また「その人の事」とされています。その絵解きは、仏画等をはじめとして、平安時代より昭和の半ばまで、人の心の学びや楽しみとして、暮しの中に生きておりました。

出典:江戸絵皿絵解き事典 絵手本でわかる皿絵の世界

江戸絵皿は、単に食器というだけでなく、お皿に描かれている絵に含み隠されている意味を推測して想像力を養ったり、絵の意味から教養を身につけるという大切な役割も担っていたのです。

『脳から見るミュージアム 中野信子,熊澤弘/著』でも触れられていましたが、美術品や歴史的資料は残そうとしなければ残せません。

この「絵解き文化」も、代々伝えていかないと途絶えてしまいます。

庶民文化の宝物である江戸絵皿と、先人の心の学びである絵解き文化を後世に受け継いでいかなければならないという大切なメッセージが本書には込められています。

 

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