『悪魔を出し抜け!』が教えてくれた、怠惰の正体。習慣をコントロールされてそれが癖になってるだけ

なぜ、やる気が出ないのか?

できれば、何もしたくない。

考えるのも面倒くさい。

スマホを眺めて、時間がただ過ぎていく。

「自分って、怠け者なんだろうか?」

でも、その「怠惰」は、もともとの人間の本質じゃないんです。

実は、「怠惰」は後天的に仕組まれた洗脳かもしれないということに辿り着きました。

『悪魔を出し抜け!』という、ナポレオン・ヒルの異色の本をご存知でしょうか。

この本の中で、ナポレオン・ヒルは「悪魔」と対話しながら、悪魔がどのように人間を思考停止させ、「怠惰」に誘導するのかを暴いていきます。

悪魔はこう言います。

すべての人間は、「流される」人間かそうでない人間かに分類できる。「流される」人間は絶えずそうでない人間の言いなりになるしかない。そして、その関係は時間の経過と共に固定化されていく。

『悪魔を出し抜け!』ナポレオン・ヒル著

「怠惰」は本当に“自分のせい”なのか?

この本を読んで衝撃だったのは、

“ 「怠惰」とは、生まれつきの性格ではなく忙しさ・責任・評価・習慣によって「後天的に仕込まれるもの」 ”

という視点でした。

つまり、私たちは知らないうちに、自分で考える力を“誰か”に預けるようになっていたのです。

私たちは「自分で考えること」を放棄して生きている?

ふと振り返ってみると、こんな構造が浮かび上がってきます。

  • 学校:「正解は教えてもらうもの」
  • 会社:「マニュアル通りにやるのが正しい」
  • 家族:「親が言っていた通りにするのが安心」
  • 社会:「空気を読めば安全」
  • SNS:「評価されている意見が正解っぽい」

知らないうちに、自分で考えることを放棄していることに気づきます。

自分の頭で考えるよりも、正解を教えてもらったり、言われたことだけ言われた通りにやっている方が、人間の脳は楽なのです。

従っていた方が、否定されたり、批判をされる心配もないからです。

「流される」人生の危険性

そして気づいたら、

「考えなくても生きられる代わりに、何のために生きているのか分からない」という、いわゆる虚無感・・・やる気が起こらない・・・

という状態になってしまうのです。

人間は、もともと「考えることが面倒くさい」のか?

人間は、もともと「ダラダラしていたい」生き物なのか?

ところが、本来の人間はけっして「怠惰」なんかではありません。

本来の私たちは、怠惰ではなかった

もっと小さな頃のことを思い出してみると…

  • なんでも「なんで?」「どうして?」と聞きたがった
  • 何時間も泥遊びや実験に夢中になれた
  • 失敗も気にせず、ただ面白そうだから動いていた

つまり、私たちは元々、考えたがりで、動きたがりの存在だったんです。

では、その好奇心や行動力はどこに行ったのでしょう?

忙しさと責任が「思考する余白」を奪った

日々の生活の中で、次第にこんなサイクルが回りはじめていたことに気づきました。

  1. やるべきことに追われて「なぜそれをやっているのか」考える余裕がなくなる
  2. 「間違えられない」責任感が、自由な選択を阻む
  3. 安心できる枠の中に思考を“預ける”ほうが楽
  4. 自分の意思や好奇心が、だんだん曖昧になっていく

この「流される人間」をつくる仕組みこそが、ナポレオン・ヒルが「悪魔」と名付けたものの正体だったのかもしれません。

日々忙しくさせられて、そもそも考える時間の余白がないのです。

また、間違えたり失敗したときに経験する、責められたり非難された記憶により、自分の考えや自分の意思を表に出さない人間につくられていってしまうのです。

人間の意識を支配するために唯一必要なことは、その人間を「流される」ように仕向けることなのだ。

『悪魔を出し抜け!』ナポレオン・ヒル著

もうひとつのキーワード「ヒプノティック・リズム」

ここまで読んできて「なぜ人は、自分で考えないことに慣れてしまっているのか?」という疑問が出てきます。

ナポレオン・ヒルは、その核心を「ヒプノティック・リズム」という言葉で説明しています。

繰り返された思考・行動・感情が、やがて “ 無意識の自動運転 ” になる現象です。

人間の脳は、同じ行動・感情・思考を何度も繰り返すと、それを “ リズム ” として固定し、自分で気づかないうちに再現し続けるようになるのです。

つまり、「習慣」の作用です。

悪魔が狙うのは「このリズムの固定化」

悪魔の戦略はシンプルです。

  1. 怠惰、恐れ、逃避などで、“ 思考停止 ” パターンを繰り返させる
  2. それをヒプノティック・リズムとして脳に定着させる
  3. 自分から抜け出せない“自動モード”の人間を量産する

こうして、人は「考える力」を失い、いつのまにか同じ毎日、同じ自分をループし続けることになり、「流される人間」になってしまうのです。

リズムとは習慣の最終段階なのだ!どんな思考も、どんな体の動きも、何度も何度も繰り返されるうちに、習慣の原理によって、最後はあるリズムを形成する。

その段階まで来ると、もはやその習慣を壊すことはできない。なぜなら、それはすでに大自然にとりこまれ、永久のものとなっているからだ。たとえて言えば、水の中にできる渦のようなものだ。水の中の物体は、渦に巻き込まれない限り、どこまでも流されていくだろう。しかし、いったん巻き込まれると、ぐるぐると回転を始め、二度とそこから逃れることはできない。人間が思考するときに使うエネルギーも、その川の流れのようなものだと思えばいい。

『悪魔を出し抜け!』ナポレオン・ヒル著

逆に、このリズムを「味方」にする

大事なのは、ヒプノティック・リズムは中立だということ。

流されて思考停止の状態だと “ 悪魔に支配される ” が、自分の頭で考えることで、この力をうまく味方にできるということです。

毎日ほんの小さな「考える」「動く」「問い直す」習慣を繰り返すだけでも、良いリズムが脳に刻まれ、人生は変わっていきます。

自分の人生の操縦席に戻る

「怠惰」はもともとの性格なんかではありません。

流される方向に脳が「洗脳」されて、後天的に植え付けられたもの。

だって、本来の私たちは、考えることも、挑戦することも大好きだったはずです。

「思考停止」は、環境により習慣化されてしまい癖になっているだけ。

でも、それを変える力は、外にはありません。

あるのは、自分の中です。

ナポレオン・ヒルはこう語ります。

人間の思考習慣は、環境から受ける影響によって形成される。よって、その影響をコントロールすることのできる者は自分の運命を自ら支配することができる。そうでない者は運命の方に支配される。

『悪魔を出し抜け!』ナポレオン・ヒル著

自分の人生の操縦を誰かを任せてはいけません。

誰かにつくられてしまった「流される思考癖」をリセットする必要があります。

まずは、「自分の頭で考える習慣づくりが第一歩です!

自分の習慣を再設計し、自分のヒプノティック・リズムをつくっていく。

今、無意識に繰り返している“リズム”はなんですか?

ふと立ち止まり、自分の習慣に問いを投げかける時間をつくることは、決して無駄ではありません。

それをナポレオン・ヒル著『悪魔を出し抜け!』が私に教えてくれました。

自分の直面している逆境のほとんどは自分自身が作り出したものなのだということが誰にでもわかるはずだ。さらに、多くの場合、困難の原因はすぐ目の前の状況にあるのではなく、たいていは「流される」習慣と時間の経過によって、さまざまな状況が絡み合った結果生まれるものなのだということも。

『悪魔を出し抜け!』ナポレオン・ヒル著