運動不足は、慢性疲労の原因です。
特に「座りすぎ」や「座りっぱなし」には注意が必要です。
現代の生活スタイルでは、この「座る」が中心となっていて、
- パソコン作業
- テレビや映画鑑賞
- 本や新聞を読む
- 食事
- どこへ行くにも車での移動
など、気がつくとほとんどの時間を座って過ごしています。
人間は、便利さを手に入れましたが、それと引き換えに歩かなくなりました。
筋肉は使わないと萎縮して硬くなり、動きにくくなってしまいます。
筋肉が硬くなると、体を動かすと痛いからますます動かさなくなるという悪循環に陥りかねません。
人間の体は、「動く」ことが基本のつくりとなっています。
動かないと、新陳代謝の低下や、血行不良、筋肉のコリによって 逆に疲れるのです。
これらが原因の 慢性的な疲れは、家でゴロゴロしたり、体を 休めれば休めるほど、どんどん疲れていきます。
そこで、日常的に運動する習慣をつくっておくことは 非常に大切です。
毎日の生活の中に、最も取り入れやすい最適な運動は「散歩を兼ねた ウォーキング」です。
かつて人類は、太陽が昇ったら暗くなるまで食べ物を探して歩き回るという生活を送っていました。
人間の体は、歩くことが生存に適しているようにできており、歩くことで体調が良くなるようになっています。
たくさん歩くことで、ふくらはぎのポンプ機能が働いて、血の巡りが良くなり、リンパ液の流れもスムーズになるのです。
自律神経も、昼の活動中は交感神経を優位にして、夜のリラックスタイムや睡眠時には副交感神経を優位にするという切り替えがスムーズにおこなわれることでバランスが保たれています。
それには、昼間にしっかり体を動かして交感神経が優位にしておく必要があります。
体を動かすべき昼の時間帯に、座りっぱなしの生活を続けていると、自律神経が乱れて切り替えがうまくできなくなり、心身の不調につながってしまいます。
日常生活の中で「動く」ことの重要性は、いつの時代にもさかんに説かれています。
筋肉を十分に使っている人は、病気にかかりにくく、いつまでも若々しい。
歩くことは人間にとって最良の薬である。
古代ギリシアの医聖ヒポクラテス
うごく者は長久なり、うごかざる物はかへって命みじかし。
身動きて労すれば飲食滞らず。血気めぐりて病なし。
『養生訓』貝原益軒
また、運動によって、脳の海馬の神経幹細胞が活性化して、新生ニューロンが増える効果もあるといわれています。
運動によって、体と同時に脳も鍛えられるのです。
では、どうすれば歩く習慣が身につくのか?
ペットを飼っていれば、ペットの散歩という目的で毎日散歩をすることができますが、ペットを飼っていない場合は、散歩という時間をあえてつくることも習慣になるまでは難しいです。
それに、健康にいいからという理由だけでは、なかなか長続きしません。
そこで、日常生活の中にルールをつくることが有効です。
例えば、買い物に行くときは自転車や車を使わずに歩いていくというルールを設けることで、日常生活の中に「歩く機会」をつくります。
食料品の買い出しはどうしても必要なので、否応なしに歩いて行くしかなく、必然的に歩く習慣を取り入れられます。
あるいは、休日にカフェまで歩いて行ってコーヒーを飲むという目的をつくって、道中を散歩することも気晴らしになります。
そして、家とお店の間の道を散歩する中で、自転車や車で素通りしてしまっていた草木や花の移り変わり、鳥の鳴き声の変化を歩くことでゆっくり楽しむことができます。
歩くことで、ショーウィンドウに移る「自分の歩き姿」も確認できます。
普段の生活の中で、他人の歩き姿はよく見ますが、自分の歩き姿を見ることはほとんどありません。
街を歩いていると、背中を丸めたサラリーマンや、スマホに夢中の猫背の若者、ガニ股で歩くおじさんなど、いろんな人の歩き姿を見かけます。
ショーウィンドウに映る自分の歩き姿を見て、自分の背中も丸まっていないか、どんな歩き方をしているのかを確認してみましょう。
もし、猫背になっていても、ちょっと胸を上げてみることで、すぐにニューヨーカーのようなかっこいい歩き姿になることも分かります。
「こんな歩き姿なら素敵だな」と思えることで、気分も良くなります。