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「ひと」をコントロールしようとすることは、百害あって一利なし

とにかく、人はコントロールされることを嫌がります。

「押しつけ・命令・否定・決めつけ」は、相手を自分の思い通りにコントロールしようとする行為です。

誰かから “ コントロールされようとしている ” と感じると、抗いたくなるのが、人間のサガ。

当然、子供も一人の人間なので、たとえ親からであっても、コントロールされたくありません。

子供であれば、大人の「決めつけ発言」に失望し、口答えをしたり、反抗したりするようになるかもしれません。

大人同士なら、なおさらです。

相手からの「押しつけ・命令・否定・決めつけ」には、敏感に反応し、抗いたくなります。

母と娘の関係なら、一緒に住むと喧嘩になるから、距離をとって暮らす方がうまくいくと感じるようになるかもしれません。

恋人同士の関係なら、どちらかが価値観を押し付けすぎると、相手は自分の価値観を認めてくれないことに不満を感じているかもしれません。

企業と顧客の関係なら、コールセンターへの問い合わせなどで、自分の理解度や価値観を否定してくるような対応をされたとしたら、二度とこの会社の商品を買いたくないと思うようになるかもしれません。

夫婦の場合、モラルハラスメントなどで、人格否定をされ続けたら、精神が追い詰められて病気になりかねません。

職場でのパワーハラスメントも、同様です。

自分の考えが正しいと思い込んでいると、それに沿わない相手の発言や行動に対して、つい、相手が間違っていると決めつけがちです。

それが、相手への否定につながります。

なぜ相手はその言動をしたのかを聞く前に、相手の意見や行動を否定するという具合です。

また、自分が常識だと思っていることを押し付けたり、愛情が度を越して束縛になったり、しつけが過度になり無理やり言うことをきかせようとしたり、誰かと比べて優劣をつけたり、相手の趣味嗜好に口を出したり侮辱したり、見下したりするのも、根底には相手への否定が含まれています

言った方は、自分の過去の経験や、常識に照らし合わせて、相手の言動は間違っていると思い込んでいるので、良かれと思って、アドバイスのつもりで言っていることもあるかもしれません。

しかし、言われた方は、もちろん自分の言動が正しいと思っているので、怒りや不満を感じます。

「この人は自分のことを分かってくれようとしていない」

「この人に自分は信頼されてない」

そして、本能的に、自分の価値観を守るために反抗するしかなくなります。

すると、お互いに価値観を認めないので、言い争いや喧嘩に発展してしまいます。

この人には、何を話しても無駄だと感じて、口を聞いてくれなくなったり、心を開かなくなるかもしれません。

また、あからさまに反抗した態度をとっていないとしても、心の中で反発を感じたり、そっと離れていくというような行動に出るかもしれません。

人は、自分が普段から仕入れている情報から価値観がつくられて、それを正しいと思い込みます。

人それぞれが、仕入れている情報が違う限り、価値観が合わないのは当然です。

世の中には絶対正しいことはなく、見る角度が違うだけなので、それを否定しても意味がありません。

人間は、否定されると、 イヤな感情を湧かせることで、体に警告を鳴らします。

自分の考えが正しいと思っているので、自分の正当性を守ろうとして、反発という防御態勢に入るのです。

やっかいなことに、この時に、たとえ自分が間違っていたことに気づいたとしても、体が防御態勢になっていると、素直に間違いを受け入れることができなくなります。

こうなると、いくら自分が間違っていたとしても、聞く耳を持てない上に、その相手に対して反抗心で一杯になってしまいます。

人間はたとえ自分がどんなに間違っていても、決して自分が悪いと思いたがらないのである。

D・カーネギーの「人を動かす」言葉 桑原晃弥/著

相手の心が反抗と憎悪に満ちている時は、いかに理を尽くしても説得することはできない。人を無理に自分の意見に従わせることはできない。

D・カーネギーの「人を動かす」言葉 桑原晃弥/著

逆に、自分のことを理解しようとしてくれたり、信頼してくれたり、認めてくれると、自分から心を開いてもっと話したくなります。

ですので、たとえ相手が間違っていると思っても、それを決めつけて頭ごなしに否定しないことが大切です。

一呼吸おいて、相手に質問することで「なぜ、その人は、その言動をしたのか」の背景を理解しようと努めます。

子供にも、子供の事情があるし、住む環境や世代が違えば考え方は違って当然です。

そして、相手がその言動をした理由を聞いたけれど、それでもなお反対の意見がある場合に、まずは相手の都合や正義感を認めた上で、「こういう考え方もあるよ」「私は、こう思う」を伝えます。

すると、相手もいったん自分の意見を認めてくれているので、こちらの意見も受け入れてくれやすくなります。

人には、他人から認められたいという承認欲求があるのです。

ですので、一番やってはいけないのが、相手の考えを聞く前に、間違っていると決めつけて、否定することです。

私たちは自分が正しいとわかっている時、相手が間違っていることを示したいという衝動に駆られるものです。

D・カーネギーの「人を動かす」言葉 桑原晃弥/著

分かっていても、人間は感情の動物なので、カッとなるとつい否定の言葉や反論の言葉がまず浮かんできやすいですが、深呼吸をするなどしてグッと堪えて、「なぜそう思ったのか」の理由を相手に聞くことに意識を向けます。

そして、相手の考えも理解して認めた上で、自分の意見を伝えるように心がけていきたいです。