気に入ってたけど、年齢的に、もう着られない服。
大量の写真。
手紙。
いつか使うかも、きれいな箱。
「もう必要ない、手放そう!」と決意しても、結局そのままずっと持ってるモノたち。
そこで、いったんゴミ箱へ入れてみて、感覚の変化を見てみることにしました。
今回、やってみたのは、お気に入りのワンピースでした。
若いころに、一目惚れして買って、気に入ってよく着ていました。
胸元にフリルがついていて、Aラインのかわいいワンピース。
年齢的にもう着なくなったので、何度も捨てようと試みては、デザインを気に入ってるので捨てられずに、ずっと置いていました。
だけど、本当の気持ちは、もう着ないことが分かっているので「手放したい」でした。
いったんゴミ箱に入れてみて、やっぱり残したいと思うなら、ゴミの収集日はまだ先なので、また取り出すこともできる。
いざ、ごみ箱へ入れようすると、「捨てたらもう手に入らないよ?本当に捨てても大丈夫だろうか?不安だな。」と、手放さない方がいい理由がわんさか出てきます。
そんな気持ちを眺めつつ、ワンピースを着て嬉しかった思い出を振り返りながら「今まで、素敵な気分をありがとう。」と、そっと、ごみ箱の中へ置きました。
そして、いったん手放したあとの感覚の変化をみることにしました。
次の日になって分かったことは、今度は「手放した方がいい理由」の方がわんさか出てくることでした。
「どう考えても、もう年齢的に着ることはない」「ずっと持ってても、クローゼットがいっこうに片づかない」「ワンピースは手放しても、着ていた楽しい思い出が消えるわけではない」と。
脳内の勢力図が変わって、「手放す理由」の方が優勢になったのです。
どうやら、脳は「現状」に合わせた理由を、自動的に作り出してくれているようです。
「現状」とは、ごみ箱に入っている状態。
つまり、「自分がゴミ箱へいれた」という行動の理由と、「ゴミ箱の中にある」という現状の理由に合いそうなものを探して、出してきてくれるのです。
それまでは、「自分が手放さない」という行動の理由と、「ずっとクローゼットにある」という現状の理由に合いそうなものを探して、出してくれていただけだったのです。
だから、クローゼットに置いてあるときには、そのまま置いておくべき理由がわんさか出てきていたのでした。
脳の「つじつま合わせ機能」です。
まず、望む状態に置き換えてみて、あとは脳の理由付けにまかせる。
すると、その状態に合う理由を、勝手に探してきてくれて、納得させてくれる。
ずっと、思い出に執着していたワンピースを手放せたことは、一歩前へ進めたような、清々しい感覚でした。