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喜びを発見する楽しさを教えてくれる本『赤毛のアン モンゴメリ/作 村岡花子/訳』

アンの言葉の一つ一つに魅了されていきます。

これから発見することがたくさんあるって、すてきだと思わない? もしなにもかも知っていることばかりだったら、半分もおもしろくないわ。 そうしたら、ちっとも想像のよちがないんですものねえ。

出典:赤毛のアン

そして、この本は、空想の楽しさを教えてくれます。

毎日の暮らしには十一時に東の部屋でぐっすりねむっているほうがいいわ。ねむってはいても外では星が光っているし、風が小川のむこうのもみ林を吹いているなって思いながらね。

出典:赤毛のアン

アンのおしゃべりを聞いていると、グリン・ゲイブルスの家と周りの素敵な景色が頭の中に広がっていくので、まるでそこにいるかのように感じられて物語に夢中になります。

男の子の養子を望んでいたマシューとマリラの元に、手違いで孤児院からやって来たアン。

本来ならば、手違いによるものなので、アンは孤児院に返されてしまうところです。

しかし、アンの「おしゃべり」がマシューの気持ちに変化を起こします。

マリラも当初は、アンを引き取ることにしぶしぶ了承していた状況でしたが、アンと一緒に過ごす日々が積み重なるうちに、すっかりアンのことが大好きになります。

一方、アンは、グリン・ゲイブルスの家にやってきた頃は、かんしゃくを起こしたり、自分の空想の世界にどっぷり浸かって止めどなくおしゃべりをしたり、おっちょこちょいでおてんばな女の子でした。

それが物語が進むにつれて、だんだんと落ち着いた賢い素敵な女性に成長していくので、その様子にも引き込まれていきます。

ページを開くたびに、次にどんな言葉がアンから飛び出すのかワクワクします。

あら、早咲きの小さなばらが一輪咲いているわ。美しいこと。あの花は自分がばらなことをよろこんでるにちがいありませんわね?

出典:赤毛のアン

周囲の物事に対して、不思議だと思ったり、驚いたり、好奇心を常にもっていれば、世界は決して退屈な場所なんかではなく、いつも周囲から喜びを発見することができることをアンは教えてくれます。

「寝室というものは眠るためにあるのだよ」

「あら、それから夢を見るためでもあるわ、マリラ。それにほら、部屋にきれいなものがあったほうがよけい、いい夢が見られるじゃないの。」

出典:赤毛のアン

「歓喜の白路」、「スノークイーン」、「輝く湖水」など、つい名前をつけてしまうようなお気に入りの景色に囲まれて暮らすってどんなに素晴らしいだろうといつも考えてしまいます。

この世の中にこんなに好きなものがたくさんあるって、すてきじゃない?

出典:赤毛のアン

アニメーションのアンも素敵です。

特に「歓喜の白路」のシーンが大好きです。

こちらのアニメ版では、「喜びの白い道」とアンは名付けています。

アンの空想が見事に表現されていて、アニメーションならではの、実写では再現が難しいファンタジーの世界に引き込んでくれます。

この物語の核となる、グリン・ゲイブルスの家と取り囲んでいる美しい自然の描写に、ターシャ・テューダーさんのコーギコテージを連想しました。