理由もなく、なぜか気分がふさぎ込んで憂鬱なときや、無気力で何をするにも億劫に感じるときがあります。
心が穏やかなときとは明らかに違う “ 心の違和感 ” 。
そういうときは、ほんの些細なことにもイライラしてしまう自分がいます。
外の工事の音、レジの行列、ときには信号が全部赤であることにさえ腹を立てたりと、自分ではコントロールできないことに敏感に反応してしまうのです。
こういうときは、心にゆとりがない、良くない状態。
一方、心が穏やかなときであれば、あまり気になりません。
同じ出来事なのに、心の状態によって、これほど感じる気分が違うことは、本当に不思議です。
私は、心のバランスが「良い状態」なのか「悪い状態」なのかを、自分の “ 同じ出来事への反応の仕方 ” で測るようにしています。
日常の些細な出来事に対しての心の反応は、まさに “ 心のリトマス紙 ” のようなもの。
心のリトマス紙が示す「心にゆとりがない状態」を認識せずにいると、本能で解決しようとするので、モノや人への八つ当たりでイライラを解消してしまったり、暴飲暴食で気を紛らわせたり、衝動買いをしてしまったりと、感情に振り回されて、不毛な行動をしてしまいます。
イライラしている自分に「まず気づく」ことで、自分の感情に飲み込まれずに、とりあえず一歩引いて気持ちを観察できるので、感情任せの余計な一言なども防止できます。
また、他人の機嫌に振り回されることもなく、冷静に「では、どうすればいいのか?」を考える余裕もできます。
私は、心のリトマス紙がイライラを示していることに気づいたら、“ イライラはセロトニン不足!! ” と、頭の中で唱えるようにしています。
そして、セロトニンを出すための行動に意識を切り替えるようにします。
セロトニンとは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれている、脳内の神経伝達物質です。
一方、怒りや不安、イライラの正体は、ノルアドレナリンという脳内物質です。
ノルアドレナリンの働きを抑制して、自律神経のバランスを整えてくれようとするのがセロトニンであり、心と体をコントロールしているといわれています。
セロトニン神経が正常に働いてくれるおかげで、脳全体に様々な情報を適切に送って、感情をコントロールできているというわけです。
つまり、“ セロトニンが不足しているよ! ” ということを、不安、イライラ感、慢性的なストレス、疲労感、意欲低下などの症状で、教えてくれているのです。
幸せホルモンのセロトニンを出すための一番の方法は、なんといっても “ 散歩 ” です。
なぜなら、日光を浴びることで、セロトニン分泌が活性化されるからです。
ちなみに、日照時間が短い冬などは、セロトニンの分泌が減るので「冬季うつ」になりやすいのだそうです。
私は心の違和感に気づいたら、外に出て太陽の光を浴びて「気持ちいいなぁ」と感じたり、空の青さと雲の白さのコントラストに「綺麗だなぁ」と感じたり、小鳥のさえずりや木々の葉擦れに耳を澄まし「心地いい音だなぁ」と感じるようにしています。
ここで大切なのが、しっかりと “ 感じる ” です。
イライラしているときや、モヤモヤしているときとは明らかに違う、この “ 晴れやかな感覚 ” 。
“ しっかり感じる ” とは、そこに心地よさや美しさが “ ある ” ということを素通りせずに認識することです。
頭の中で、「気持ちいいなぁ」「綺麗だなぁ」「心地いい音だなぁ」と言語化することで、その対象を認識しやすくなります。
また、歩くという「リズム運動」も、セロトニンの分泌を促してくれます。
「よく噛む」や「掃除する」いう動作も、まさにリズム運動です。
私は、心がザワザワする日は、リズムよくモグモグ、モグモグと、玄米をひたすら噛むことにも意識を向けるようにしています。
すると、唾液の分泌が促進されることで胃に優しく、噛めば噛むほどだんだん甘くなって美味しいし、リズム運動によりセロトニンの分泌で心は安らぎ、よく噛むことで満腹中枢が刺激されるので少食になって健康にいいし、顎をしっかり動かすから脳の刺激にもなるので、良いこと尽くめです。
そして、「掃除もリズム運動」と考えながら、手を動かしています。
掃除をすると気分がスッキリするのは、部屋が綺麗になったからということと、リズム運動によるセロトニンの効果もあるのかもしれません。
他にも、瞑想で心を静めたり、湯舟にゆっくり浸かったり、ゆったりした音楽を聴いたり、呼吸を繰り返したり、有酸素運動をしたりと、セロトニンを分泌させる行動をとっていくことで、自律神経の乱れを調整していきます。
そして、イライラしている日や、気持ちがモヤモヤしている日は、“ とにかく寝る! ” に限ります。
十分な睡眠によって、感情の記憶が整理されるので、翌朝には嘘のようにスッキリしていたり、冷静に判断できるようになっています。
イライラしやすいときは、たいてい、一日中外に出ていなくて家にこもりっきりだったり、体がなまっていたり、ストレスで呼吸が浅くなっていたり、寝不足になっていたりすることが多いので、意識的にこれらの行動をとっているうちに、だんだんと心は穏やかに戻っていくのを感じます。
また、これらの行動は、認知機能を維持するためにも大切です。
些細なことに腹が立つなど、「いつもはイライラしないことに反応してしまっている」と感じたら、その心の違和感に “ 気づき、対処する ”。
心のリトマス紙は、日々を心穏やかに過ごすための「ありがたいシグナル」だなと感じています。