人間は、すぐに現状に慣れてしまい「そのモノ」があることに対する感動の気持ちを忘れてしまいがちです。
もしくは、初めから「そのモノ」がある場合には、あるのが当たり前になっているので、「あるという有難さ」を感じることすらできません。
そして、失くして初めてそのモノの大切さ、有難さに気づきます。
このように、人間は異なる状況を比べて、相対的に認識することでしか判断できないので、現状の「有難さ」に気づきにくいのです。
どんなに最先端の時代に生きても、どんなに裕福な国に生まれても、その「あるのが当たり前」という水準をスタート地点として、結局、何か他の不快な事象が目についてしまうという永遠に満たされない状態が続きます。
それよりも、今ある身の回りのすべてのモノに対して「~てくれている」と捉えて有難さを感じる方が心は満たされます。
例えば、
- 靴は、私たちを素敵な場所へ連れていってくれる
- 布団は、私たちがゆっくり休めるように私たちの体を包んで温めてくれる
- 野菜は、農家さんやお店の人たちの手によって大切にされながら私たちのところまでやってきてくれた
- 洗濯機は、私たちが費やすべき時間や労力を代行してくれる
- 電子レンジは、数分で冷たくなった料理を温めて美味しくしてくれる
そう感じることで、すべてのモノに対して「ありがとう」という感謝の気持ちが湧いてきて、モノを乱雑に扱えなくなり、ひとつひとつを丁寧に扱うようになるので所作も美しくなります。
見るものすべてに有難さを感じることで、自分の見る世界がすっぽりと愛に包まれているような満たされた感覚になっていきます。
もちろん、人に対しても同様です。
- ご飯をつくってくれて、ありがとう
- 掃除をしてくれて、ありがとう
- 働いてくれて、ありがとう
- 育ててくれて、ありがとう
- 心配してくれて、ありがとう
そして、
産まれてくれて、ありがとう。
「~してくれて、ありがとう」は魔法の言葉。