
呼吸は自律神経の働きにより意識しなくても自然に行えています。
しかし、浅い呼吸になってしまっていては、夜になっても副交感神経が優位にならずに、なかなか寝付けないことにもなりかねません。
呼吸に意識を向けて、ゆっくり深い呼吸をすることで自律神経の安定にもつながります。
1日の中で、1分でもいいので定期的にリラックスの時間をつくって意識的に自律神経のバランスを保っていきましょう。
呼吸のしくみ
呼吸をするとき、空気を吸いこむから空気が肺に入ってくるのではありません。
横隔膜や肺の周りの筋肉が肺を引っ張って膨らますことにより、空気が自然に肺に入ってくるのです。
そして、横隔膜や肺の周りの筋肉が肺を押して縮ませることで自然に空気が出て行っているのです。
私たちは肺が自分の力で息を吸ったり吐いたりしているように感じますが、筋肉によって肺を膨らませたり縮ませたりして空気が出し入れされているのです。
吸った酸素は赤血球が全身に運んでくれる

呼吸により体内に取り込まれた酸素が赤血球のヘモグロビンと結びつくことで血液は鮮やかな赤色になります。
ですので、酸素を多く含むはずの動脈血が暗い色の場合は酸素をうまく運べていないということになります。
赤血球を鮮やかな赤色にするためには酸素をしっかり取り入れるだけでなくヘモグロビンの材料である鉄分も不足させないように食生活にも気をつけなければなりません。
血液によって各細胞に運ばれた酸素が小腸で吸収された養分を分解することで私たちが活動したり体温を上げたりするために必要なエネルギーが取り出されます。
ストレスなどで浅い呼吸になってしまっていると、酸素不足に陥っている可能性もあります。
そして、細胞に届く酸素が足りないと、エネルギー不足になってしまいます。
深呼吸の効果
自律神経をコントロールできる
自律神経は、体温調整や消化、呼吸など、自分の意思とは関係なく体を常にコントロールしてくれています。
人間が無意識で行っている自律神経の働きの中で、唯一、コントロールできるものが呼吸です。
ストレスが多い日々の中では交感神経が優位に働く時間が長く、自律神経のバランスを崩しやすくなります。
そこで腹式呼吸でゆっくり深い呼吸をすることで、副交感神経を優位に働かせることができるので自律神経のバランスが整いやすくなります。
十分な酸素が細胞に届く
人間の細胞はおよそ3か月で生まれ変わるといわれています。
血液によって酸素や栄養が十分に細胞に届けられることで、新陳代謝が高まり細胞の生まれ変わりのサイクルも正常化されます。
冷え対策になる
人間は体内の重要な器官から優先的に酸素を届けるので、酸素の量が少ないと、筋肉までなかなか届かないので冷えの原因になってしまいます。
ゆっくりと深い呼吸をすることで新鮮な酸素が十分に取り込まれ全身の細胞に栄養が行き渡りやすくなります。
横隔膜がしっかり動く
横隔膜は肺を動かす膜状の筋肉で、呼吸によって動きます。
呼吸によって横隔膜の収縮と弛緩を行うことで、血液の循環が促されます。
血行が良くなることで、老廃物や二酸化炭素の排出も促進されやすくなります。
また、横隔膜が硬くなると内臓機能も低下しやすくなるので、横隔膜を上下にしっかり動かし周囲の内臓のマッサージをして内臓機能を上げていきましょう。
深呼吸の方法

胸式呼吸と腹式呼吸の違い
胸式呼吸も腹式呼吸も両方とも必要ですので、上手に使い分けましょう。
胸式呼吸は、いつも無意識に行っている呼吸で、交感神経を優位にします。
朝目覚めた時や、運動をしてリフレッシュするときなど、頭をすっきりさせたいときに適しています。
腹式呼吸は、練習しないと難しい呼吸で、副交感神経を優位にします。
寝る前や、リラックスしたり瞑想するときなど、心をおちつかせたいときに適しています。
息を吐ききることが大切
しっかりと息を吐ききらないと、肺に残っている空気があるため十分に吸えません。
それどころか、残った空気は肺の場所を占めますが再利用はできません。
「ため息」は「息がたまっている」から吐き出すという本能であり必要な動作です。
呼吸が浅くなっていると感じたら、「ふぅー」っと大きく息を吐いてみましょう。
ゆったりしたリズムで呼吸のサイクルを繰り返す
呼吸とは、本来は無意識でも行うことができますが、そうすると呼吸は浅くなりがちです。
そこで無意識に行っている呼吸のサイクルの吸い終わりと吐き終わりの部分を意識的に行うようにします。
吸い始めは体の自然の動きにまかせて、吸い終わる時に横隔膜を意識して深くしっかり吸います。
吐き始めは力がぬけて体から自然に空気がぬけていくような動きにまかせて、吐き終わる時は横隔膜を意識してしっかり吐ききるように呼吸をサポートするイメージです。
長縄跳びで縄が回るリズムを待つように呼吸のリズムに合わせて終わりの部分に力を使います。
ゆっくり吸って、少し間をおいて、ゆっくり吐いていくというリズムを繰り返していくだけの存在として呼吸だけに意識を向けることで雑念のない心地よい気分を味わいます。
ゆったりとしたペースで呼吸をすることで呼吸回数も減ってきます。