
脳の老廃物の中には、アルツハイマー病の原因の一つとされる代謝副産物もあるので、年齢を重ねるほど深い睡眠をとることを軽視せずに本気で対策を考えていく必要があります。
睡眠は、体の疲労回復だけでなく、脳内の毒素を排出するための「清掃機能」も担っています。
眠ることで、ノンレム睡眠中に脳内のニューロンの発火が一時的に止み、酸素の必要量が減るので、脳への血流量が減少します。
そこへ、脳脊髄液が大量に流れ込み、「脳の老廃物が洗い流される」のだそうです。
起きている時は、脳の血流量が下がらないので、脳脊髄液が大量に流れ込めず、蓄積した代謝副産物である老廃物を洗い流すことができません。
つまり、深い睡眠は、脳内をきれいに掃除して正常に動かすための大事な「脳独自のクリーニングシステム」なのです。
深い睡眠をとるためには、環境づくりがポイントとなります。
- 朝に太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされて、14~16時間後に睡眠を促すメラトニンが分泌される
- 就寝時に深部体温が急速に下がることで眠気が誘発されるので、寝る90分前に入浴したり軽い運動で体を温めて、深部体温が下がってくるタイミングで眠りにつけるようにする
- 寝る30分~1時間前には、明るさを150ルクス以下のオレンジ色の照明に切り替えて、パソコンとスマホのブルーライトを浴びない
- 副交感神経を高めるために、呼吸を整えたり、ゆったりしたクラシック音楽や自然音(森やせせらぎの音など)を聞いたり、眼を温めてリラックスする
- 寝るまでに消化活動を終わらせるために、就寝前の3時間は食べないようにする
このような環境づくりを習慣にしていくことが、深い睡眠につながっていきます。